この手に触れるもの
「そろそろ…手が痛々しいよ」


綺麗な顔で眉を下げて私を心配する杏理を見てから、自分の手を見れば、手の洗い過ぎで無数に傷ついた手が目に入る。


「ごめんね、控えようとは思ってるんだけど…」


「回数、減らせると良いね?」


杏理は決して、「やめろ」とは言わない…言ってしまえば私が困るのを知っているから。


杏理の言葉に浅く頷けば、トイレの洗い場から廊下に出る。


「…全く、毎日飽きないわねえー」


「ああ…"貴公子様"?」


そう、と頷けば、忌々しげに顔を歪ませて、先程から聞こえていた黄色い声の方へ顔を向ける杏理に続き、私も見る。


私も杏理も、ああいう類の女子が嫌いで、極力関わりは避けてる。
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