今宵も、月と踊る
(コーヒーでも飲みながら大人しく待っていようかな……)
確か、駅の目の前に大型のコーヒーショップがあったはずだ。休日で混んでいたとしても、あそこなら一席ぐらいなら空いているだろう。
行先を駅前のコーヒーショップに定めて、もう一度日向のもとに繰り出す。
目的地まであと少しという所で交差点の信号待ちに捕まると、ふと近くのショーウインドウに飾られていた“あるもの”に目を奪われる。
それは、白いワンピースだった。
誘われるように信号待ちの列から抜け出して、ワンピースが良く見える位置までふらふらと歩き出す。
(可愛い……)
間近で見ると、より一層気に入ることになった
ノースリーブ、膝丈、オフホワイトのコットン地。
やや厚みのある生地は日差しに透けることもない。ウエストには切り替えが付いていて、着こなしが難しい白無地のワンピースでもすっきりとした印象になっている。
(買っちゃおうか。でも、迷う……)
白のワンピースなんて、お世辞にもオシャレとは言えない私が買っても着こなせるかどうかかなり怪しい。
タンスの肥やしにするには惜しい値段ではある。