もう一度君の笑顔を
それを聞いた瞬間、頭を鈍器で殴られたような衝撃をうけた。


彼女が言った?



彼女が言った?!



考える事を放棄してしまった俺の頭は、そればかりグルグルまわる。


ショックのあまり何も言えない俺のただならぬ雰囲気を感じ取ったのか、女子社員の集団は何かを言い残して去って行った。



それもそうか・・・と納得する。



自分が振った男といつまでも付き合っていると思われるのも嫌だろう。



彼女がどう言うシチュエーションで俺と別れた事を言ったのかはわからないが、彼女が言った事は事実だから仕方ない。



朝からの視線の正体はコレか・・・



みんな、ホントに別れたか気になったのだろう。



はぁ・・・



もともとあまり無かった食欲が0になってしまった。



俺は誰もいないフロアで一人昼休みを過ごした。



午後からはさらに好機の目にさらされた。



さらには、俺の返答が悪かったのか、それとも相手がアホだったのか、変な噂が立ち始めていた。



それは、自分が未練があるくせに、俺を振ったような態度を取った彼女に俺が怒っているというもの。


別れ際に彼女が俺を罵ったため、俺が傷ついているというもの。



他にも色々あったが、そのどれもに当てはまる共通点は、彼女が悪者になっているということだった。



俺は、その点だけは何とか払拭したかったが、今の自分が冷静では居られない自覚もあったので、何も出来ないでいた。
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