もう一度君の笑顔を
その夜は、梨花を飲む事になった。


「まだ、週の始めだしやめたほうが・・・」


そう言う私を


「あんたも私も、ちょっと飲んだくらいで明日の業務に支障をきたすことなんてないでしょ!」


そう、私も梨花もお酒には強い。


酔いそうになればセーブするせいか、二日酔いを経験した事はなかった。



結局、家で一人でいたくはない私は、梨花の提案に乗ったのだ。



「約1年だっけ?」


「うん。」


私が彼を付き合うきっかけとなったのは、営業とマーケティングが合同で行った飲み会の幹事をやらされた事だった。


始めは少し無愛想だった彼は、話してみるととても話しやすく、優しかった。



なぜか気のあった私たちは、それをきっかけに二人で飲みに行くようになる。



もともと恋愛経験の少ない私が、イケメンで優しい彼の魅力にあらがえるはずも無くあっけなく彼に落ちてしまった。



それでも、望みはないだろうと、諦めていたのに、まさかの彼から告白で私たちは付き合い始めた。


なぜ、私を好きになってくれたんだろう?



そんな疑問と不安を持ちつつも、付き合い始めた私は彼を好きな女の子に嫌みを言われるようになる。


その言葉に私の不安はさらに大きくなる。



それでも、そんな不安も彼に会えばどこかに行っていた。


そんな付き合いが大きく変わってしまったのは、付き合い始めて半年が過ぎた頃だった。



彼が、別の女性と食事に行ったという話を耳にしたのだ。



耳にしたというより、本人から報告を受けたと行った方が正しい。



それはそれは可愛い女の子が私に笑顔で言ったのだ


「中野さんに食事に誘われて、彼女さんに悪いなとは思ったんですけど、言っちゃいました。」


と。
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