もう一度君の笑顔を
そんな私の願いとは反対に、友紀にはまったくと言っていいほど男の気配がない。


友紀の良さは近づかなければ分からない。


そして、完璧なほど自立した女を演じる友紀を支えられる男は少ないだろう。


本当は、甘えん坊で寂しがりやなのに・・・。



そんな友紀に転機が訪れたのは去年のマーケティングとの合同飲み会だ。


そこで幹事が一緒だった中野光輝といい感じになったのだ。


二人はどんどん親密になっていき、あっと言う間に付き合い始めた。


何でも、友紀にとっては６年ぶりの彼氏らしい。



私は、心から祝福したが、それを面白く思わない人間もいた。


それはマーケティング部の女子社員だ。


そりゃ、ずっと狙ってた同じ部のエースがいきなり現れた他の部の女に盗られたら面白くないのもわかる。


分かるが、彼女らはやり過ぎだ。


中野光輝が友紀にべた惚れなのがわかると、中野光輝を誘うのではなく、友紀を攻撃するという行動に出た。



まぁ、最初は友紀もあまり気にしていなかったのだが、半年を過ぎた頃に状況が一変した。


何でも、中野光輝が同じ部の女子社員の誘いに乗って、二人で食事に行ったらしい。


それからは酷かった。


もう相手は言いたい放題。


友紀が言い返さない事を良い事にある事無い事言いまくっていた。



恋愛に不慣れで、平穏に生きて来た友紀はそれに言い返す事も、受け流す事もできずにかなり参っていた。


別れる前辺りは、日曜の夜、なかなか寝付けないみたいなことも言っていた。


私から見れば、中野光輝が友紀にべた惚れなのは、一目瞭然だったから、様子を見たいたのだけど、いっこうに改善の余地はなく、結局二人は別れてしまった。


二人が別れた事は残念だったが、これで友紀への嫌がらせは無くなるだろうと思ったのに甘かった。


いつまで経っても友紀に未練たらたらの中野光輝のせいで、友紀への攻撃は収まらなかった。

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