もう一度君の笑顔を
「今年は、美奈子さんも一緒か〜」


そう言うと思わず笑みが溢れた。


美奈子さんは、修ちゃんの従兄弟だ。おじいちゃんとおばあちゃんが再婚するまで、修ちゃんは、よく、おじいちゃんの妹の家で過ごしていたらしい。


美奈子さんはおじいちゃんの妹の子供。


だから、修ちゃんと美奈子さんは兄弟の様に育ったらしく仲がいい。


おじいちゃんとおばあちゃんが再婚して、お母さんとも仲良くなった。


そんな美奈子さんは、私を娘の様に可愛がってくれる。



3ヶ月ほど前、美奈子さん家に遊びに行った時は、修ちゃんが会社まで迎えに来てくれた。


「あ・・・」



すっかり忘れてた、その時、彼氏がいるって美奈子さんに言ったんだった。



どうしよう。次、会う時に、別れたって言った方がいいんだろうか・・・



でも、私の誕生日を祝ってくれるんだしな・・・


せっかく、祝ってもらうのにそんなこと言ったら、変な空気になるかな・・・


いや、でも絶対に尋ねられるだろうな・・・


なんて答えるのがベストだろう・・・


そんなことを考えながら、ふと時計を見ると10時を回っていた。


結構遅くなったな・・・・仕事も区切りのいいことろまで片付いたし、帰る事にした。



光輝と別れたことを言うか言わないかは、その場の空気で決めようかな・・・


と、思ったが、駄目だ。


修ちゃんも一緒だった。



付き合いの長い修ちゃんは、私の嘘を一発で見抜く。


変に嘘をつくと余計な心配をかけかねない。


仕方ない。ここは聞かれたら、素直に別れたと答えよう。



結論が出てすっきりした私は、会社を後にした。
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