もう一度君の笑顔を
モヤモヤしながら、必要な資料を取りに行く為に廊下を歩いていると、話し声が聞こえて来た。


特に興味はないが、声がする方に目的地があるから仕方ない。


声の方にある行くと、聞いた事のある声が聞こえて来た。


反射的にその声の方を見ると、うちの部の佐々木さん達が見えた。



そして、それに対峙しているのは、俺の位置からでは、後ろ姿見えないが間違いなく友紀だった。



林梨花と俺の事で何か言われているようだった。



言いがかりとしか思えないような内容に声をかけようかと思った瞬間、友紀がキレた。



気の強そうな見た目と、仕事ができるせいかキツい性格だと思われている友紀だが、実は穏やかな性格だ。


自分より相手の意見を尊重するし、わがままを言うのも苦手だ。


ただ、今回は相手によっぽど腹が立ったらしい。


至極真っ当な意見に相手も反論できないでいる。



「仕事なめてんの？！！」



その言葉は俺の心にも刺さった。


全く、友紀の言う通りだった。



俺がふがいないせいで、友紀の仕事の邪魔をする訳には行かない。


部にだって迷惑をかけてる。



呆然と見ていた俺に佐々木さん達が気づいた。


驚いて目を丸くする佐々木さん達に友紀も何事かとこちらを向いた。


そして、友紀の顔も驚いた表情に変わる。



俺は、友紀達のほうに足を進め、そして、友紀の横で止まった。



「色々、迷惑かけてゴメン。」


俺がそう言うと、友紀は目を丸くし、それからすごく切なそうな表情で俺を見上げて来る。



その表情に思わず抱きしめたくなるがそれは出来ない。


直視していると誘惑に耐えられそうにないので、その視線から逃れる様に目を背けた。

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