もう一度君の笑顔を
告げられた事実に、頭がついて行かず、フラフラと友紀の方へ行く。


「大丈夫?」



友紀が心配そうに聞いてくる。



包帯で巻かれた友紀に心配されるのが可笑しくて苦笑してしまった。



「大丈夫。ちょっとビックリしただけ。

 それにしても、大丈夫なのか?記憶が無いって。」



何事もないように答えながらも、頭の中は別の事を考えている。



「うーん、倒れた時に、ちょっと頭を強く打ったからそのせいじゃないかって先生が・・・

 でも、他はホントに大丈夫なんだよ。ちょっと痛いとこもあるけど・・・」


「頭打って縫って、記憶喪失で、全身打撲のどこが大丈夫なのよ!

 大体、いい加減寝なさいよ!」


林梨花が怒りながらツッコんだ。



「林さんの言う通りだよ。

 座ってないで寝てないと。」



ガラっ



もう一歩友紀に近づいたとき、部屋の扉が開いた。



振り返った俺の目に映ったのは、友紀といるところを何度も目撃した男だった。



「あ、修ちゃん、お帰り〜」


「おかえりじゃない!大人しく寝てろって言っただろ?!」



あの時と同じ様に『修ちゃん』と呼ばれたその男は、友紀を見て飽きれたように言った後、俺に気づいた。



「「・・・・・・」」


驚いて何も言えない俺と、感情が読めない顔で俺を見つめ返す『修ちゃん』。


俺らの間に流れる微妙な空気に気づいていない様子の友紀は


「あ、修ちゃん、この人は同じ会社の中野光輝さん。

 光輝、この人は私の叔父で野崎修司と言います。」



とお互いを紹介してくれた。











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