もう一度君の笑顔を
自分の予想以上の嫉妬深さに気付いて衝撃を受けていた俺はすっかり周りの状況に気づいてなかった。



いつのまにか林梨花が居なくなっていて、友紀が心配そうにこっちを見ている。



「光輝?大丈夫?」



「え?あぁ、ごめん。ちょっと考え事してた。」


「そう。ごめんね。仕事が忙しい時に。」



「いや、仕事の事じゃないよ。友紀はそんなこと心配しなくていいから。ゆっくり休んで。」


「うん。ありがとう。」



友紀の笑顔にホッとしつつも、横からの視線が痛い。


林梨花は帰っていたが、野崎さんは帰っていなかった。



「よし、中野君!一緒に帰ろう!!」



「「えっ??!!」」



野崎さんの提案に友紀と二人声を揃えて驚いてしまった。


「修ちゃん!光輝に何か言うつもりでしょ?!」



「いや、友紀の小さ頃の恥ずかしい話とかしないから大丈夫だ!!」



「絶対するつもりじゃん!」


「俺がお前に嘘ついた事あるか?」



優しく言う野崎さんに友紀は・・・





「ある。」



そう言い切った。



「まぁまぁ、いいじゃないか。

 な、中野君、いいだろ?おっさんに付き合ってくれよ。」



そう言ってこっちを見る野崎さんは、その軽快な口調とは相反してその顔は笑っていない。



友紀からその表情は見えないが、その顔にはNOとは言わせない迫力がある。



「はい。ご一緒させてください。」



思わずそう言ってしまった。



「光輝??!!」



驚く友紀に



「また、明日、ゆっくり来るよ。」



何でも無い様に装った。



「着替えは美奈子に頼むから。」



「え?美奈子さんに?何か悪いよ・・・」



「いや、ものスゴい心配してたから。明日朝一で来ると思うからついでに持って来てもらう。

 流石に、友紀のとはいえ、着替えは用意するのは気まずいからな・・・」


「・・・・うん。」



俺には美奈子さんが誰かは分からないが、友紀は観念したようだ。




「じゃあ、また明日来るから。」




「うん。二人とも仕事忙しかったら無理しなくていいから。」



「わかった。」

「大丈夫。また明日な。」



俺は野崎さんと一緒に部屋を出た。

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