もう一度君の笑顔を

修司side

仕事が一段落して一息つくとき、何気なく携帯を見ると、見知らぬ番号から何度も着信があった。


嫌な予感がした。


緊張しながら、伝言を聞いて、自分の嫌な予感が的中していることを知る。



「悪い、帰る。」



「どうかしたんですか??」



そう言って、席を立つと部下に声をかけられた。



「姪が、事故にあって病院に運ばれたらしい。」


「え?!大丈夫なんですか??」



「わからん。とにかく行って来る。

 後は任せていいか?」


「もちろんです!急いで行って上げて下さい!!」



今年48にもなろう俺が結婚もせず、それどころか彼女さえ作らず、姪を溺愛しているというのはかなり有名な話だ。


その姪が、事故にあったと聞いて、病院に行く俺を止める者なんて居ない。



「すまない。何かあったら連絡してくれ・・・」



俺は足早に会社を後にした。



タクシーに乗り、病院へ向かう間、手の震えが止まらない。



友紀は意識不明で運ばれたとらしい。



最悪の考えばかりが頭をよぎる。




きっと大丈夫だ。


友紀が、交通事故で死ぬ訳が無い。



義兄、友紀の父親は交通事故で亡くなった。



同じことで友紀が死ぬ訳がない。



義兄が守ってくれる。




普段の俺なら非現実的だと笑ってしまうようなことなのに、この時の俺は、それにすがるしか無かった。



病院に着いた途端、用意していた金を運転手に渡し、釣りも受け取らずに友紀の元へ向かう。




看護婦に案内されて通された部屋は個室で、友紀はまだ眠っていた。


頭を強く打ち何針か縫ったらしい。


体も強く打ち付けたらしく、腕などにまかれた包帯が痛々しいが、骨折などはなく、とりあえず命に別状は無いらしい。



安心感で、力が抜け、その場に座り込んだ。

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