もう一度君の笑顔を
まだ目を覚まさない友紀の頬そっとなでる。


どちらかと言えば義兄に似ていると思っていたのに、こうして寝ている顔は千佳にそっくりだ。


そんなことを思っていると、


「ん・・・」


友紀が目を覚ました。



「友紀!大丈夫か??!!」


俺の声に、友紀はまだ焦点の合っていない瞳のままこちらを見た。



「修ちゃん?」



そう尋ねられ、友紀の手をギュッと握る。


「あぁ、今、先生呼ぶからな・・・」



ナースコールを押して、友紀が目を覚ました事を伝えるとすぐに医者がやって来て、俺は閉め出された。





診察を終えた医者から伝えられたことに、衝撃を受ける。


「記憶喪失・・・ですか??」


「記憶喪失と言っても、自分が誰なのかわからなくなるタイプではなく、一定期間の記憶が抜け落ちるタイプです。」


確かに、自分が誰なのかわからなくなるよりマシな気もするが、記憶喪失であることにはかわりない。


「それで、友紀は大丈夫なんですか?」


「今のところ、命にかかわる問題はありませんが、頭も強く打っているようですし、しばらく入院して経過を見ましょう。」



「・・・わかりました。宜しくお願いします。」




医者からの説明を終えて、病室に戻ると、見知らぬ女の子が友紀の隣に居た。



「あ、修ちゃん。お帰り〜。」


すっかり意識を取り戻した友紀がのんきな声で言う。


「こら、座ってんだ!

 寝てなきゃ駄目だろ??」


そう言って怒る俺を見て、友紀はクスクス笑いながら隣に居る女の子に言った。


「叔父の修ちゃん。過保護なんだよ。」


「過保護なんだよじゃないわよ!!

 私もさっきから寝なさいって言ってるでしょ??!!

 あなた、車に轢かれたのよ?!」


「はい。」


その子に叱られた友紀は、しぶしぶベットに横たわった。

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