Change!俺とアイツの怒涛の9ヶ月日記
その後、海司は眉とアイメイクもしてくれた。


終始、海司は真剣な顔をしていて。


本当に海司は手が抜けない人だなあと、私は内心思っていた。


「じゃあ最後にグロスな。口、軽く閉じて」


言われるまま口を閉じると、海司が私の唇の中心にブラシをトンとのせた。


「ここも内側を一番濃くして、外側にいくにつれて薄くしていくんだ。

継ぎ足さなくていい。一回で充分」


「そうなの?私の友達、みんな何回か継ぎ足してるよ」


「しゃべんな。口閉じてろ」


「ん…」


「なんでもやり過ぎは禁物。ベタベタした唇は、男に敬遠されるぞ」


そうなんだ。


ナチュラルな方がいいんだね。


「最後は指で仕上げる」


そう言って、私の唇に親指で直接触れる海司。


その感触に、ドキッと心臓が跳ねた。


どうしよう。


こんなふうに優しく触れられると、身体中の全ての神経が唇に集中してしまう。


真剣な瞳で、私の唇を見つめている海司。


海司って間近で見ると、やっぱりすごく綺麗な顔。


この顔は入れ替わっている時に、鏡で何度も見たのに。


この距離で見ていると。


なんだか呼吸が、うまく出来ない。


あぁ、どうか。


海司にこの心臓の音が聞こえませんように……。
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