Change!俺とアイツの怒涛の9ヶ月日記



「花音ちゃん、大丈夫?足、しんどくない?」


「うん、平気。すごく楽しいし」


私と恵介君は今、スワンボートに乗っているところだ。


スワンボートに乗るのは、生まれて初めてかもしれない。


行きたい方向へスムーズに進めないけど、それはそれで面白い。


「なんか今日の花音ちゃん、元気がない気がする」


「えっ、そうかな?」


「体調悪い?」


「ううん、そんなことないよ」


私、元気ないかな。


そんな自覚、一切ないんだけど。


恵介君には、元気がないように見えるんだ。


せっかく遊園地に来ているのに、気を遣わせちゃ悪いよね。


「ようし、もっと漕ぐぞー」


笑顔でそう言って、スワンを漕ごうと足に力を入れたその時。


私の目の前に、スッと恵介君の左手が差し出された。


「ん?」


どういう意味?


私がきょとんとしていると。


「手」


手がどうかしたの?


「こうしよう」


恵介君はそう言ったかと思うと、私の右手を取って。


ぎゅっと握った。
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