Change!俺とアイツの怒涛の9ヶ月日記
「だ、だめっ!」


ドンッと。


繋いでいない方の手で、恵介君の胸を押し返す。


すると恵介君が、驚いた顔で身体を後ろに引いた。


恵介君はみるみる顔が赤くなっていって。


私も多分、耳まで真っ赤になっているだろうと思われた。


「あ、あの…、ごめん。

あそこに海司がいて……」


「えっ?」


私が指差す方向を振り返る恵介君。


「うわっ、ホントだ!

海司ー、今の見てたーー?」


恵介君は海司に声をかけた。


「おう、見たー。

ごめんなー。別に見るつもりはなかったんだー。

たまたまここを歩いてただけー。

それよか、佐久間見なかったー?」


「見てないよー。

見てないよねぇ?花音ちゃん」


「う、うん…」


「はぐれたんだー。

俺、あっちの方探してくるわー。

どーぞ遠慮なく続きやってー」


「アホかー!もう出来るかよー」


照れているのを隠すように、恵介君がクスクスと笑う。


「じゃあ、後でなー」


そう言って海司は、私達に背を向けて行ってしまった。


その後ろ姿を、私はじっと見ていた。


「はー…、タイミング悪…。

とりあえず戻ろうか、花音ちゃん」


「う、うん…」


私と恵介君はその後、繋いでいた手も離してボート乗り場へと戻った。
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