Change!俺とアイツの怒涛の9ヶ月日記
『花音…』


『ん?』


『俺ね、ずっと花音の夢を見ていた気がする』


『夢?どんな?』


『花音がね、真っ白い花が一面に咲いた花畑の中に立ってるんだ。

そこから必死に俺の名前を呼んでるんだ。

海司、目を覚まして。

早く目を覚ましてって、何度もね。

俺はもう戻るつもりはなかったんだけど。

あまりに花音がしつこいくらいに呼ぶから。

ちょっと戻ってみようかなって思って、花音の方へ歩いてみたんだ。

そうしたら目が覚めて、この病室の天井が見えて。

その直後に、花音が俺を好きって言う声が聞こえたんだ。

まだ…、夢の続きを見ているのかと思った』


『何度も呼んでよかった。

呼んでいなかったら海司、帰って来てくれなかったかもしれないもの』


『戻って来て良かった。

花音と気持ちが通じ合えたし。

こうやって、キスだって出来るんだから……』


『ちょっ、もう!さっきから何回してんの!んーっ!』


『ちゃんと歯磨きしたし、いいだろ?』


『そ、そういう問題じゃない。あ…っ、ん』


『おー?お前、意外に色っぽい声出すんだな。もっと出して?』


『なっ!ここ、どこだと思ってんの!』


『退院したらすぐに俺の部屋に来い。

いっぱい鳴かしてやるからさ……』


『バ、バカ!っていうか耳元で囁くのはやめてっ』




そんなわけで。


私の必死な呼びかけが効いたのか。


海司は奇跡的に目を覚ましたのだった。
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