今年の終わり、この恋も終わった



彼女が、わかってるくせに、と頬を膨らませた。



「君がさ、死んで…幽霊になってまで、ここに現れた理由だよ」






あぁ、時計の針が時を刻む。






10時59分。

年を越すまで、あと1時間になってしまう。



足りないのに。


そんなに少しの時間では、彼女に何かを残すことさえできない。



「ねぇ。泣いているの?」



ねぇ。
彼女の、甘えるような声が俺を呼ぶ。



「ねぇ。何か言ってよ」



「ごめん」



「謝って欲しいんじゃ、ない、のに」



彼女が傷ついたような顔をした。

唇を噛んで、何かに耐えるような顔をする。



< 4 / 11 >

この作品をシェア

pagetop