今年の終わり、この恋も終わった
彼女が、わかってるくせに、と頬を膨らませた。
「君がさ、死んで…幽霊になってまで、ここに現れた理由だよ」
あぁ、時計の針が時を刻む。
10時59分。
年を越すまで、あと1時間になってしまう。
足りないのに。
そんなに少しの時間では、彼女に何かを残すことさえできない。
「ねぇ。泣いているの?」
ねぇ。
彼女の、甘えるような声が俺を呼ぶ。
「ねぇ。何か言ってよ」
「ごめん」
「謝って欲しいんじゃ、ない、のに」
彼女が傷ついたような顔をした。
唇を噛んで、何かに耐えるような顔をする。