恋宿~イケメン支配人に恋して~



「理子ちゃーん、ちょっといい?」

「あっ、はい!」



中から名前を呼ばれ、千冬さんの手からパッと離れると私は旅館の中へと急いだ。



つねられじんじんと痛む頬には、彼の指先の感触。笑顔にどきりとしてしまったせいか、今更になって触れたことも意識してしまう。

頬に触れた感触。冷たい指先。目の前の、笑顔。



……いつだって、いきなり触れたり近付いたりするんだもんな。こっちはそれに心揺さぶられてばっかりだ。

ていうか、八木さんという彼女がいながらどうしてああも簡単に触れたりするかな!

意外とチャラい?八木さんは遊びとか?寧ろ私が遊ばれている?



……けど怖い姿ばかりみているからか、笑われるとドキドキするよ。

恥ずかしい、くすぐったい。



触れた肌が、熱い。




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