恋宿~イケメン支配人に恋して~
「そろそろ宴会準備お願いします。今日の宴会は社員旅行の団体客なので、ビール多めに用意で。俺はこれから取引先とミーティングがあるので、何かあれば携帯に」
「はーい」
声を合わせて返事をする皆に、千冬さんはそのまま部屋をあとにした。それに続くように私たちも宴会準備を始めようと休憩室から歩き出す。
「さーて、宴会宴会~」
「今日は理子ちゃんも宴会のほうを手伝ってね」
「はい」
いつもだったら、私は個室の食事運びをすることが多い。宴会はなにかと忙しいから、慣れてる人たちの方がいいからとのこと。
でも今日は個室客は少ないし、広間を2つ使って行われる宴会の団体客の人数が多いから、との理由で私も宴会の当番だ。
「本当はあんまり若い子は宴会に出したくないんだけどねぇ」
「え?」
「仕方ないわよ。いい?理子ちゃん。宴会中は何があっても気にしない!スルーすること!」
「へ??」
なんで?ていうか、なんの話?
しっかりと言い聞かせるおばさんたちに意味が分からず首をかしげる。けれど皆はそれ以上語ることはなく、足早に準備へと取り掛かった。