恋宿~イケメン支配人に恋して~
「やってく?サービスで3発までタダでいいよ」
「ケチな店長が珍しい」
「可愛い子の前では格好つけたいんだよ!あ、千冬は1発1000円な」
「って何でですか」
冗談を言って笑いながら、彼は私に射的用の銃を手渡す。
「私、射的なんてやったことないんですけど」
「なら千冬に教えてもらいな!そいつムダに上手いから」
お祭りの出店ですらもやったことがないものだから、銃を持ったところでどう構えていいかも分からない。
そんな私に千冬さんは、自分の分の銃を持って隣で構える。
「教えるもなにも……こう構えて、狙って、撃つだけだろ」
その言葉の通り、彼はパンッと銃を撃つと目線の先にあったタバコを一箱綺麗に撃ち落とした。
「構えて、狙って……」
言われた通り真似して撃つ。けれど私の撃った弾は、見当違いの方向に飛んでいってしまう。
「お前、下手くそだなぁ」
「なっ!仕方ないじゃないですか、初めてなんだから……」
「初めてにしても下手すぎ。ちょっと貸せ」
すると千冬さんは、私の体を後ろから抱きしめるような形で銃を構えさせた。
「両脇を締めて、銃の柄を肩と頬で固定する。で、台に肘をついて安定させて」
「なっ、えっ、わっ……」
って、体くっつきすぎだし、手は添えられてるし、顔も近すぎるし……
ど、ドキドキする……!!
丁寧に教えてくれるものの、耳元で響くその低い声に心臓が壊れそうなくらいドキドキしてしまう。
いきなりこんなに近い距離じゃ、頭の中になにも入ってこないよ……!
少しパニックになりながらパンッと撃ったものの、構え方がよかったからか弾は置いてあった小さな景品に見事に当たり撃ち落とした。