恋宿~イケメン支配人に恋して~
「次はどこに行くんですか」
「そうだな……じゃあ、あそこに行くか」
店長さんに「それじゃあ」と軽くお辞儀をして、遊技場を出てまた石段を歩き出すと、彼が指をさすのは目の前の、更にずらーっと並ぶ石段。
「えっ……まさか、てっぺんまで行くんですか」
「あぁ。少しのぼればすぐだ」
「少しって……どう見ても少しの距離じゃないんですけど」
慣れないのぼり階段にここまでのぼってくるのも少しきつかったけど……ここから更に上なんて、つらすぎる。
先の見えない石段に行くのを渋るうちに千冬さんはずんずんとのぼって行ってしまい、一人残るわけにも行かず仕方なく私ものぼりだした。