恋宿~イケメン支配人に恋して~
「ここって、本当にご利益あるんですか」
「あぁ。実際来てご利益あったって話も多く聞くし……お前の目の前にもその証拠があるだろ」
「へ?」
私の目の前……って。
キョトンとしながら千冬さんを見ると、彼はふふんと笑ってみせた。
「もしかして……千冬さん、ですか?」
「そ。うちの両親もなかなか子供が出来なくて、俺が出来るまでここに通ってたんだと」
「えぇ!?本当にあるんだ……」
神様とかご利益とか、元々あまり信用していなかっただけに疑ってしまったけど……こうも証拠を見せられるとは思わず、驚いてしまう。
「千冬さんのご両親って、どんな人だったんですか」
「どんなって……普通。二人ともよく喋る明るい人で、仲の良い両親だったな」
「そんな両親の間に生まれてどうしてこんなに無愛想な子に……」
「俺は母方のじいちゃん似なんだよ」
写真に写っていた笑顔の二人を思い出し、明るい性格をあてはめると、可愛がる両親とそれを照れて嫌がる千冬さんの姿が簡単に想像ついた。
「けど俺が生まれるまでは大変だったって言ってたな。特に母親とばあちゃんの嫁姑問題で」
「えっ、嫁姑?」