恋宿~イケメン支配人に恋して~
11.どんなに強くつないでも
握った手は、熱く小さく。
折れてしまいそうなその細い指を、離したくないと思ったんだ。
ピピピピ、ピピピピ、と音をたてるアラームを止め目を覚ます。
時計の針が指すのは、朝の4時半。
「あー……眠、」
ふぁ、と大きなあくびをこぼし寝癖のついた髪をわしわしとかいた。
薄く明るさの見えてくる朝方、眠いは眠いけれど気持ちのいい朝だと思う。
布団から体を起こし、うーんと伸びをしながら見上げれば、小さな和室の壁にかけられた黒いスーツ。
シワのないそのスーツに、よし、と気合を入れる。
今日も一日、頑張るか。