恋宿~イケメン支配人に恋して~
「なんだよ、普通のカエルだろ」
「か、カエル自体普通じゃないです……ギャッ!跳んだ!」
「そりゃ跳ぶだろ、カエルだし」
そうか、都会の人間だから実際にカエルを見たりしたことがないのか。
カエルの動きひとつにビクッとする姿につい笑えてしまう。
「カエルくらいで大袈裟な……可愛いもんだぞ?触ってみるか?」
「やだ!絶対嫌です!結構です!!」
「あ、こっち向かってきた」
「ぎゃー!!いやー!!」
よほど怖いのか、カエルの少しの動きに悲鳴をあげて俺にしがみついた。
……いかん。不覚にも、これは可愛い。
いつもふてぶてしい彼女の珍しい怖がる姿に、胸がキュンと音をたてる。
「お前、ビビりすぎ」
「だって……、!」
本人も無意識で抱きついてしまったのか、俺との距離に気付き驚く。そして、みるみるうちに頬を赤くさせたかと思えば手を離した。
「す、すみません……」
「……いや、別に、」
って、自分で抱きついておいて照れるなよ。こちらまでつられて赤くなってしまう。
「あっ、理子ちゃんちょうどいいところに!ちょっと手伝って貰ってもいい?」
「あっはい、行きます」
するとそこに通りがかったらしい大渕に呼ばれ、理子はちょうどいいと言わんばかりに立ち上がりその場をあとにした。