恋宿~イケメン支配人に恋して~
「愛想よく、感じよく。分かったな?」
「……努力します」
「分かったなら戻ってよし。ほら、行ってこい」
そして背中を押すように、その大きな手で優しく私の背中を叩いた。
「……はーい、」
あの日から、恋人同士となった私と千冬さん。
正直あんまり変わらないようにも見えるけれど、少し、ほんの少し千冬さんが優しくなった気がしなくもない。
まぁ、毎日お互いバタバタとしていて、恋人らしい雰囲気はあるかないかと聞かれれば、ない。
だけどこうして少し触れる指先や、叱るためとはいえふたりで話が出来るのは、ちょっとうれしかったりする。