恋宿~イケメン支配人に恋して~



「愛想よく、感じよく。分かったな?」

「……努力します」

「分かったなら戻ってよし。ほら、行ってこい」



そして背中を押すように、その大きな手で優しく私の背中を叩いた。



「……はーい、」





あの日から、恋人同士となった私と千冬さん。

正直あんまり変わらないようにも見えるけれど、少し、ほんの少し千冬さんが優しくなった気がしなくもない。



まぁ、毎日お互いバタバタとしていて、恋人らしい雰囲気はあるかないかと聞かれれば、ない。

だけどこうして少し触れる指先や、叱るためとはいえふたりで話が出来るのは、ちょっとうれしかったりする。


< 214 / 340 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop