恋宿~イケメン支配人に恋して~
「勘違いしてるみたいだけど、今日頼みたいのは屋外での花の移動販売」
「移動販売?」
「お盆だからね。寺とかの近くで花売ると結構売れるんだよ。キミみたいな残念な体を売り飛ばそうだなんて思ってないから安心して」
「なっ!」
そしてけらけらと笑うと、和室を後にした。
な、なんて失礼な……!わからないじゃんか、確かに誇れる部分はないけどこの体だって需要はあるかもしれないじゃん!
売り飛ばされなくてよかったけれど、その言われ方はなんか不服だ。
でも、そっか。花屋の制服か。
紙袋の中を広げてみれば、白い半袖のシャツにえんじ色のリボン、同じくえんじ色のタイトなスカートに黒のエプロン……。
おぉ、なかなかおしゃれ。これを着て少し手伝いをすれば、千冬さんのことを教えてくれるということ。
これくらいなら、安いもんか。
私はそうカットソーを脱いでワイシャツに袖を通した。