恋宿~イケメン支配人に恋して~



「おいコラ、なにしてる」

「へ?」



するとその時。聞こえた低い声に振り向くと、そこにいたのは暑そうにシャツの袖をまくり立つ千冬さん。

彼は腕を組み、鋭い目でこちらをにらんでいる。



「ち、千冬さん!?どうしてここに……」

「さっき俺がメールしたの。『迎えに来て〜』って、キミのミニスカ写メつきで」

「え!?」



けらけらと笑いながら宗馬さんが見せたスマートフォンの画面には、飲み物を買いに自販機へ向かう私の後ろ姿。

い、いつの間にこんな写真を……!



それを見て急いで来たのだろう、その眉間には深いシワが寄る。



「どういうことだ。朝コソコソと旅館出たと思ったら宗馬といるわそんな格好してるわ……だいたいなんだそれ!スカート短かすぎるだろ!」

「それは私も思います。けど宗馬さんの趣味です」

「顔も胸も残念なんだからまだマシな脚見せるくらいいいでしょー」

「どういう意味ですか」



千冬さんははぁ、と溜息をひとつつくと私と宗馬さんを引き離した。



「話はしっかり聞かせて貰うぞ。来い!」

「えっ、でも……」

「いーよ、そのまま帰って。今日のバイトはもう終わり。あ、服はあとで旅館に届ける花と一緒に持って行くから」



そんな宗馬さんの話を最後まで聞くことなく、ズカズカと歩き出す千冬さんに引っ張られその場を歩き出した。





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