恋宿~イケメン支配人に恋して~
「ああいう子、好きなんですね。笑顔で可愛くて元気な子」
「……そういう言い方やめろって」
「宗馬さんが言ってた通りのタイプの子ですし。本当、私と真逆」
『千冬さんのせいじゃない』そう分かってはいても、ふて腐れたように言ってしまう。
そんな可愛げのない態度の私に、突然足を止めた千冬さんは顔を近付けそっとキスをした。
「な……なにを、いきなり」
「やめろって言ったのにやめないから、黙らせた」
突然のキスに、驚きと恥ずかしさで頬がぼっと赤くなる。その反応を見て千冬さんは、ふっとおかしそうに笑った。
「……可愛いな」
そして、もう一度重ねる唇。
いつもだったら、千冬さんは仕事中にこういうことはしない人。だけど今はきっと、私を安心させようとしてくれている証。
……大丈夫、信じてるよ。
そう伝えるように、黒いスーツの袖を小さく握った。