恋宿~イケメン支配人に恋して~
「じゃ、着付けしてやってくれ。吉村、着付けの仕方きちんと覚えるように」
「へ?着付け?」
「うちの制服は着物だからねぇ、ちょっと失礼」
「ぎゃっ!?」
早速、とでも言うように、紹介を終えて早々に八木さんは容赦無く私の服を脱がせだした。
「うちの着物は二部式着物だから簡単に着付け覚えられると思うよ。はい、まずこの二部式長襦袢を着て……」
「え!?いや、あの……まだそこにいるんですけど!異性が!!」
「あらやだ、忘れてた。千冬さん、女の子の着替えですから部屋の外で待っててくださいよ」
見慣れているのか、気にしないのか……一応背中を向けてはいるものの、普通に私が着替える横で待とうとしている芦屋さんを指差すと、八木さんも思い出したように着替えの手を止め、彼を手で払う。
「別に、心配しなくても見ないし見たところでガキの裸に興味もない」
「なっ!?」
なんですって!?見られたいわけじゃないけれど、そう言われるのはまたちょっとムカつく。
「そういう問題じゃありません。セクハラで訴えられたくなかったら、はい!出る!」
「ったく、わかったよ……」
八木さんに追い出されるように背中を叩かれ、芦屋さんは渋々部屋を出る。バタン、と閉じられたドアに「よし」と笑うと彼女は着替えをまた始めた。