恋宿~イケメン支配人に恋して~
「お辞儀が浅い。もっとしっかり、見えなくなるまでがお見送りだ」
「いたたたた!ちょっと、離してくださいよ!」
「この角度を身を持って覚えろ」
深すぎず浅すぎずの微妙な位置を、私の体に叩き込むように覚えさせる彼の手から逃れるようにして距離を取った。
「ったく、午前中だけで何度叱られれば気が済むんだよ」
「……じゃあいちいち怒らなければいいのに」
またついこぼれてしまった心の声に、目の前の芦屋さんの顔は『ピクッ』と引きつる。
「……タダ働き、1ヶ月に1日追加な」
「えぇ!?」
ひどい!追加なんてあり!!?