恋宿~イケメン支配人に恋して~
「きっとこういう仕事向いてないのよねぇ、正直ああいう子がいると迷惑っていうか」
「そうよねぇ、役にも立たないし足は引っ張るし……使えない子なんていらないのに」
「……」
『いらない』、……って。そんなの、分かっている。
はぁ、と息を一つ吐くと開けかけていたドアをそのまま開けた。
「わっ!?吉村さん!?」
「あらやだ!今の話……」
「聞こえてました、すみません。あ、荷物取りに来ただけなのでお構いなく」
驚き一気に『まずい』といった空気になる室内をスタスタと歩き、部屋の端に置かれた服を淡々と拾う。
「あ、あのね?今のは決して悪気はなくて……」
「大丈夫ですよ、事実ですし」
こういう反応がまた、可愛くないと言われるのだろう。
けれど女々しく泣くことも出来ない私は、しれっとした顔でそのまま部屋を出た。
可愛げがない、向いていない、いらない。
わかってるよ、そんなこと。私だって好きでやっているわけじゃない、仕方なくやっているだけ。
なのに、なんでそんなことを言われなくちゃならないの。