恋宿~イケメン支配人に恋して~
5.自分探検隊
疲れて深い眠りに落ちた夜、夢を見た。
慎の、夢。
『いつも、この牛乳買ってますね』
それが、慎と初めて交わした会話だった。
私は何年か前から、家の近くのスーパーに毎日のように寄って買い物をしていた。朝ごはんはシリアルがいいからと、そのための牛乳を買いに。
そこで働いていた慎は、そんな私を品出しをしながら度々見かけていたようで、ある日初めてそう声をかけてきた。
その些細な一言から始まって、店員と客として仲良くなって、連絡先を交換して遊びに行く仲になった。
『理子はいつも表情固いよねぇ。まぁ、だからこそたまに笑顔が見られるとラッキーって感じだけど』
『ラッキーって……』
『……俺は、そんな理子のことが好きなんだけど』
『え……?』
出会って半年が経ったある日。突然の真面目な告白に、驚きながら頷いた私に慎はそっとキスをした。
それが、恋人としてのふたりの始まり。