恋宿~イケメン支配人に恋して~
「ねぇ、だから理子一回落ち着いて話を……」
「話なんてする必要ないよ。流れだろうとなりゆきだろうと、浮気するような人とは付き合えないから」
「えっ!?ちょっと、理子……」
そして寝室を出て、すぐ隣のリビングにある物もまたガサガサと袋に詰め終えると、パンパンになった大きな袋をふたつ持って私は玄関で靴をはく。
「じゃ、私の物は持って行くから。残ってるものあったら捨てていいよ」
「待って理子、それって……別れるってこと?」
「当然でしょ。じゃ、あとはごゆっくり。さようなら」
「待って、待ってってば!」
慎は納得出来ないと言った様子で私の腕を掴み追いかけようとする。けれど、その腕を容赦無く振り払った。
「言い訳する前にパンツくらい履けば?最低男」
「あっ!!」
その捨て台詞にようやく自分が全裸なままなことに気付く慎を置き去りにするように。バン!とドアの閉まる音だけを響かせて。