泡沫 〜白虎編〜
「藤城さん!どこか回りたいところある?」

藤城と呼ばれた少女は、ゆっくりと振り返ると、

「別に、特にはない。私には気を使わないで、皆さんの行きたい所へどうぞ。」

そう告げ、近くのベンチに腰掛けた。

そんな姿を見た女子の一人が、

「藤城さんって、うちらのこと見下してない?」

そう口にすれば、他の女子も

「ちょっと綺麗だからって調子乗ってるよね!あの人、マユの彼氏に手ぇ出したこともあるんだって!」

「え!?そうなの??サイテーじゃん!」

と、話に花が咲く。

それを、聞こえているのか、気にしていないのか、藤城はベンチに腰掛けながら、ぼうっと眺めていた。

その時、突然携帯がメールを受信し、藤城は携帯のディスプレイへ目を向ける。

そこには、遠い異国の地で会社を経営している父から、何か古い古文書のような本の写真が添付してあった。
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