ミントグリーン~糖度0の初恋~
「ハハハ……。驚いてる」
雪がイタズラな笑みを浮かべて笑う。
「当たり前でしょう…」
驚きすぎて抗議する私の声は小さい。
「何か、地元離れてやっぱり不安だったんだよ。
千波みたいにこっちに頼れる家族とかいないし。
だから、竹田がそばにいるって知ったとき嬉しかった。
あいつも同じだったみたいで。
そうしたら、いつの間にかそういうことになっちゃって…」
そうしたら、いつの間にか……ね。
「竹田といても今さらときめきとか甘さとかってあまりなくて、私がしたかった恋とは全然違うからぶっちゃけ別の恋に憧れもあるんだけど。
居心地のよさは抜群で案外幸せなんだよね…。不思議なことに。
もちろん、大学で新しい友達もできたんだけどさ。
何だかんだとちょいちょい鷹野とも連絡取り合って3人で集まってるんだよね。
こっちに来ても代わり映えしないけど楽しいよ?」
「そういうことね…」
やっと話が元のところに戻って私は頷く。
「千波も一緒に集まれたらもっと楽しいかと思ってさ。
鷹野は友達としてでも千波に会いたいって言ってた。
千波がどれだけシンタくんを好きなのかは分かってるつもりだけど、鷹野にほんの少しでもチャンスあげられないかな?
シンタくん以外で一番千波の気持ちに近づけたのって鷹野でしょ?」
雪の話に私は黙りこんでしまった。