ミントグリーン~糖度0の初恋~
5
6月。
第二金曜日は私の誕生日だった。
「千波ちゃん!」
約束より早めに着いたのに、川越駅の改札の向こうに手を振る踊子さんの姿が見えた。
「ごめんなさい、待たせちゃって」
駆け寄った私の頭に手を置いて
「時間通りに来たんだから謝らないの」
踊子さんはニッコリ笑った。
「これ、清海によく言われてたんだよね」
お茶目に舌を出してみせる踊子さんは、また綺麗になったように見える。
聞くまでもなく、兄とはうまくやってるみたいだ。
新しい職場はクレジット会社のコールセンターで、神経を使うことが多いらしいが
『その分プライベートで発散してる』
から苦にならないのだとか。
1つうまくいっているものがあれば、他のものも大抵うまくいくものらしい。
これを幸福の連鎖反応という。