ミントグリーン~糖度0の初恋~
願いは叶わなかった。
私には分かっていなかったが、あのクマは本場英国製の本物の(?)テディベアだった。
値段も小学生がおいそれと買って貰えるようなものではなく、驚くほど高価だったのだ。
そんな高価なクマが何故こんな地方都市のデパートにいたのかは未だに謎だ。
値段を付けて売り場に置いているものの売る気はない展示品、といったところか。
「バースデープレゼントは他のものにしなさい」
父の言葉に泣いた。
末っ子で、待望の女の子。
散々甘やかされて、欲しいものも易々と手に入れていた私が初めて手に入らないものだったと思う。
いっぱい泣いて不貞腐れた私を慰めてくれたのは清雲兄ちゃんだった。