ミントグリーン~糖度0の初恋~
「ただいま、テディ」
一人暮らしを始めた私の部屋には、空色の木製チェアに座る大きな大きなテディベアがいる。
名前はテディ。
テディベアだからテディ。
清雲兄ちゃんが名前をつけた。
10才の誕生日に2人の兄がプレゼントしてくれたテディベア。
兄達は、1年かけてバイト代を貯めてこのテディを私にプレゼントしてくれた。
10才の誕生日当日。
私だけでなく両親も唖然としていた。
自転車の荷台に大きなテディベアを乗せて帰ってきた清雲兄ちゃんの姿に。
その日の朝から庭で日曜大工に励んでいた清海兄ちゃんは空色の椅子を作り上げていた。
「千波。
1年よく我慢して念じ続けたな。
今日からこいつはお前の親友だよ」
空色の椅子に座った大きなクマを私は目を真ん丸にして見つめていた。