ミントグリーン~糖度0の初恋~
「あのね?千波ちゃんは気にしなくてもいいんだよ?
こういう時は仕方ないんだから」
「でも、私って甘えてばっか……」
俯いたままの私に踊子さんが微笑みながら
「本当に必要な時はちゃんと甘えていいんだよ。
誰かに優しくしてもらうとね、その分自分も優しくなれるんだって。
だから、その優しくなれた分を他の誰かに返してあげればいいんだよ」
その言葉には温かい気持ちが溢れてて、顔をあげた私に踊子さんはニコッと笑って続けた。
「ーーーってシンタさんが言ってた」
…………さすがだ。
「それよりさ、私が来た時シンタさんが泣いてたみたいに目が真っ赤だったんだけど。
何だったんだろうね?
千波ちゃんに何かあったのかと思ってびっくりしたんだから」
「…………」
テーブルから消えている純愛小説。
続きを読んでまた泣いたんだ……。
なんて、踊子さんに言えるわけもなく。
「さあ?」
笑いながら首を傾げて私は誤魔化した。