ミントグリーン~糖度0の初恋~




「うちの実家に来るためにわざわざお洒落なんてしなくてもいいよ。

いたって気さくな両親だし、いつもみたいな通勤スタイルで来ても大丈夫だよ?」


「いやいや。そんなわけには。
せっかくだから清海も驚くような女らしい服を着てみたいし…」


雑誌をめくる踊子さんを見ながら笑ってしまう。


何だかんだと言っても結局は兄のためにお洒落をしたいんだ。


踊子さんを見ていると本当に本当に兄が好きだという気持ちがいつもいっぱいで。


そんな姿を見せられると私も嬉しい。


大好きな兄を大好きだと言ってくれる踊子さんが私は大好きだ。



「…………ねえ。
お姉ちゃんはお兄ちゃんのどこを好きになったの?」


突然の質問に踊子さんは飲んでいた麦茶を吹き出しそうになった。


「な、何よ、藪から棒に。
そんなこと知りたいの?」


「うん。教えて」


「改めて言ったら照れるじゃん…」


そう言って右手で髪をくしゃくしゃとしながら踊子さんは少し渋っていたけど、引き下がりそうもない私に観念して口を開いた。


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