ミントグリーン~糖度0の初恋~




「全部。としか言えない」


今度は私がグラスを倒しそうになった。


いや、この答えを予想していなかった訳じゃないんだけど、こんなにもあっさりと何の臆面もなく言ってのけるとは…。


しかも全く照れてる様子もなく大真面目なのには恐れ入る。



「すごいな……お兄ちゃんって」



ここまで踊子さんを虜にしちゃうなんて。



「本当にすごいんだよ。日吉清海っていう人は。

はじめはさ、何か強引というか振り回されてばっかでいつの間にか好きになってたんだけど。

あ、そうだ。
私が本当に清海を好きだって自覚したのは千波ちゃんと初めて会ったあの夜なんだよ?

千波ちゃんの話を聞いて、もっと彼のこと知りたい、って思ったのがきっかけ」


「へー。そうだったんだ…」



感謝しろよ、兄貴。



「清海にはたくさん感謝してるんだ。
私を変えてくれたからね。
自分で自分が好きになれるなんて思ってなかったもの」


そう言って笑う踊子さんは美しかった。


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