ミントグリーン~糖度0の初恋~




「さてと、恥ずかしい話も終わったし、私はそろそろ帰ろうかな?」


踊子さんが2人分のグラスを手に立ち上がる。



「そっか。お兄ちゃんが帰ってくるんだもんね」


「そう。1週間ぶりにね。
だから今日はキレイに掃除した部屋で清海に美味しいものいっぱい作ってあげたいんだ」


そう言いながら手際よくグラスを洗って傍らの水切りかごに伏せる。


踊子さんは本当にマメで家事が得意だ。


私ならシンクにほったらかしてしまうところだ……。




私を看病しながら部屋の掃除もしてくれて、部屋もキッチンも隅々までピカピカになっていた。


初日の夕飯以外はずっと踊子さんが作ってくれて、よく考えたら踊子さんの料理ははじめてだったけれど、何を食べてもメチャクチャ美味しくてびっくりした。


初日にシンタくんが作ってくれたリゾットは熱のおかげであまり味が分からなかったけど、とても食べやすくて優しい気持ちになれた。


2人のおかげで私はこんなに早く元気になれたんだ。






「冷蔵庫にシチューの残りがあるから今夜はそれを食べてね?」


帰り支度を整えた踊子さんは私に微笑みかける。


フレンチスリーブの白いシャツに紺色のクロップドパンツ。


来たときと同じ格好に戻った踊子さんは、とても素敵な大人女子に見えた。



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