ミントグリーン~糖度0の初恋~
「本当にお世話になりました!」
玄関で深々と頭を下げた私に踊子さんは照れ笑いを浮かべる。
「まだ無理しちゃダメだよ?
今度会うのは一緒に帰省するときかな?
近くなったら時間決めようね?」
あ…、まだ言ってなかったっけ?
「私、一緒には帰らない」
私の言葉に踊子さんが目を丸くする。
「え?! まさか全く帰らないとか言わないよね?」
焦る踊子さんに笑ってしまう。
それでは、2人だって帰りづらいもんね。
「言わないよー。
明日までゆっくり休んだら、私は先に帰ってる。
向こうでお姉ちゃんたち待ってるからね」
「そっか」
踊子さんはとても安心したように息をついて、私の頭をよしよしと撫でてくれた。
「帰る気になったんだ?」
「うん。お姉ちゃんとシンタくんにたくさん優しくしてもらったからね。
親孝行でもしてその分お返しすることにした」
「ハハハ。そんな風に考えなくてもね、帰るだけで立派な親孝行だよ?
じゃ、ご両親に私たちは月末に伺いますってお伝えしてね?」
踊子さんは嬉しそうにそう言って帰っていった。