ミントグリーン~糖度0の初恋~
11・ずっと待たせてごめんなさい。
「もしもし?」
『は、はいっ! シ、シンタくん?!』
数ヶ月ぶりに聞く千波の声は、驚きのためか完全に引っくり返っていた。
「そう、シンタだけど。
すごい声出してんね?
かわいそうなニワトリみたいだぞ?
ケータイに架けてんだから着信画面に名前出てんだろ?
そんなに驚くか?」
クスクス笑いながらそう言ってやると怒ったように食ってかかってくる。
『そ、そうだけど!
すごい久し振りに架かってきたんだから驚くのは当たり前じゃん。
それも何の予告もなしに!!』
「予告ってどうすんの?
あ、兄貴通せば良かった?」
『……もういいよ。
それより何か用?』
容易に想像できる不貞腐れた顔。
こんなに久し振りなのに。
今度連絡する時はそれなりの緊張が伴うと思ったのに。
あっという間にいつも通りのやり取りをしている俺たち。
そのことがどうしようもなく嬉しくて、
やっぱり千波は特別なんだなと再確認する。