ミントグリーン~糖度0の初恋~
「明日来るんだろ?」
『え? ……あー、近藤さんのお祝いだよね?
お兄ちゃんには来いって言われてるけど。
…………行っていいの?』
恐る恐る伺うような声音。
そんな声を出させてしまうことに胸が痛む。
「当たり前でしょ。
ってか、来てくれないと困るの。
必要なんだよ、千波が」
『……え? 』
戸惑う千波に間髪入れず続けた。
「だから、明日の10時に池袋のテレビがいっぱいあるトコね。
忙しくなるから遅刻するなよ」
『は? だってお祝いは夕方から……。
シンタくんのお店で…』
「その前にデートすんの。
だから言ってるだろ? 忙しいって」
『へっ? デート…?
デー……、
デ、デ、デートぉぉぉ?!』
予想通りの絶叫に満足感を得ながら
「そーゆーことで、明日ね」
俺は電話を切った。
恐ろしくだらしなくにやけてしまっていることを自覚しながら。