ミントグリーン~糖度0の初恋~
恋人同士になって初めての共同作業は、お祝いのケーキ作り。
すでに用意してあった土台に千波がホイップしたクリームをデコレートして、買ってきたフルーツやマジパン細工をのせていく。
「出産祝いじゃなくてクリスマスケーキだよね…これ」
「千波がサンタとかトナカイとかクリスマスの飾りばっか買うからでしょ?」
出来上がった切り株型のケーキを見て2人で笑いあった。
近藤さんは、清海の友人だ。
といっても年齢は10も違う。
驚いたことに交通事故の加害者と被害者として知り合ったという。
小学生だった清海をバイクで跳ねてしまった大学生の近藤さん。
そんなきっかけから14年も付き合いが続いているのだから、この2人の絆は固い。
俺も清海を通して近藤さんとは知り合ったが、穏やかな人柄で面倒見も良く本当に頼りがいのある兄のような人だった。
「お兄ちゃんやシンタくんにとってはそうかもしれないけどね。
私にとってはお父さんみたいな人だよ」
千波はニコニコ笑って言うけれど、近藤さんが聞いたらショックで倒れてしまいそうだ。
確かに千波とは17も離れてるからそっちの方が近いのかもしれないけれど。
今日は近藤さんが父親になったお祝い。
一昨年結婚した奥さんは8歳年下って言ってたっけ。