ミントグリーン~糖度0の初恋~
「でもね、付き合い始めた時から年の差ってあまり気にならなかったんだって。
近藤さんが言ってた」
「それはさ、お互いが社会人になってから知り合ってるからじゃないか?
それに男性より女性の方が精神年齢は高いと思う」
「そっかな?」
「一概には言い切れないけどね」
「……どーゆー意味?!」
俺を軽く睨み付けてくる千波に舌を出してやりながら、実は千波だって年の割にはしっかりしてると心の中で思う。
泣いたりするとまるで幼児だけど。
「私も早く社会人になりたい」
ぽつりと呟くように言った千波に目をやると少し不安げな様子で俺を見上げていた。
「なーに言ってるの」
軽い調子で返してやったけど千波の表情は冴えないまま。
俺はその顔を覗き込むようにしながら
「あのさ、学生時代ってすごく恵まれた贅沢な時間なんだよ?
なるべく長く楽しみたいって思わないかね?」
「だって……」
「もし、俺が社会人なのに…とか考えてるならナンセンスよ?
千波は学生。俺は社会人。
はじめから分かりきってることだろ?
ちゃんと覚悟をもって俺は千波と付き合うつもりだから大丈夫」
「ホント?」と言いながらも完全に納得できていないような千波には、もう少し言ってやりたいこともあったけど、話はそこで終わってしまった。