ミントグリーン~糖度0の初恋~



「うあー」



電話を終えてローテーブルに突っ伏した。



ただでさえ香折さんと色々話した後でちょっと緊張してた電話なのに、思いがけず会う約束まで出来てしまった。



完全に私のキャパシティを超える出来事の連続。



今日はすごい1日だったな……。
どっと疲労感が押し寄せて助けを求めるようにテディに手を伸ばした。



心臓がまだものすごい早さでドキドキいっている。



さっきまでの電話を心の中で反復した。






バレンタインデーにシンタくんと会える!



正直、会うことは諦めていた。
まだまだ忙しいと思ってたから。



シンタくんと出会ってからずっと宅急便で送り続けたチョコレート。



今年はちゃんと会って手渡すことができる。



15歳くらいから恥ずかしくなって兄にあげることはやめてしまったバレンタイン。
(それなのにシンタくんには送り続けていたことが何故か去年兄にバレて随分ねちねち言われた)




考えてみれば家族を除いてちゃんと面と向かってチョコレートを渡すのは初めてのことになる。




どうやって渡すんだろう?



色々頭の中でシュミレーションしただけで顔が火照るのが分かる。




「うあー」



私はもう一度唸りながら、渡すときのことよりもまずはチョコレートを用意しなくては……とテディを抱き締めながら、ちょうど10日後に迫ったバレンタインデーに思いを馳せた。








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