ミントグリーン~糖度0の初恋~
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「キミたち、俺の扱い雑すぎ」
自らのバイト先で、ユニフォームであるえんじ色のエプロン姿でため息をつくカイチくん。
「何でよー。
わざわざバイト先までチョコレート届けに来てあげたじゃない。
こんな美女2人がさ。何か不満でも?」
全く悪びれる様子もなくケラケラと笑う雪と
その横でカイチくんの言う通りかも、と小さくなる私。
「バレンタインは明日だっつうの。
前日にもらってもリアクション困るわ。
しかも、2人揃って本命別にいるし。
こんな分かりやすい義理チョコ姉貴以外から貰うと思わなかったね」
シルバーのトレイを脇に抱えて、赤い包装紙でラッピングしたチョコレートを手にしたカイチくんは苦笑いを浮かべていた。
「あー、チョコレート?
ちゃんと上手く作れたのかな?」
他のテーブルで接客していたくららさんがカイチくんが手にした箱に気が付いて歩み寄ってくる。
最近になってお腹が目立ち始めてきたくららさんは笑顔が以前よりさらに柔らかくなった。
「はい。教えてもらった通りに作ったら本当に簡単に出来ました」
「簡単なのに食べてみたら味もバッチリで。
これ、くららさんの分も作ったんで食べてみてください」
雪と二人で差し出したチョコレートをくららさんは嬉しそうに受け取ってくれた。