ミントグリーン~糖度0の初恋~









とても深く濃いオレンジに染まった湖を見て日吉は泣いていた。


大きな夕焼けを写しこみ、微かな風に揺れる湖面は小さなさざ波をたてる。
その度に黄金色の細かな砂金が舞うような錯覚。


湖をぐるりと取り囲む緑、赤や黄色の可愛らしい花たち。


点在する古びた木製ベンチ。






ロケーションは完璧だ。



俺たちが生まれ育った街のシンボル的スポットである千波湖をイメージできる場所。


目の前の景色は思い出のそれとは似て非なるものだけど、
日吉ならこの景色の向こうに思い出の場所を見てくれる。


そう確信できた。




だから連れてきた。



何度もロケ班を重ねて、
一番いい時間帯を計算し、
それに合わせてここまで連れてきた。



きっと喜んでくれる。


そう信じてたのに。




こんな風に泣かれるなんて想定外。








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