ミントグリーン~糖度0の初恋~
「―――でも、ありがとね」
気が済むまで笑って、まだクスクスと肩を震わせながらシンタさんはそう言って、
不貞腐れていた私の頭に手を置いた。
「このシャツね、買った時のタグにはライトグリーンって書いてあったの。
でも、ミントグリーンの方がずっとカッコいいから、今度からこのシャツはミントグリーンですって言うことにするよ。
ね、ホントにこの色俺に似合うと思う?」
「……思う。すごく似合ってる」
「そっか。
俺も気に入ってるシャツだから、素直に嬉しいよ」
そう言いながら歩き出したシンタさんが見せた笑顔は、
それはそれは爽やかだった。
「千波ちゃんもとっても良く似合ってるよ。
そのシャケ色のパーカー」
へ!?シャケ…?
立ち止まったまま自分の服装を見直す。
「ちょっと!!
これはサーモンピンクだよ!!
私だってこのパーカー気に入ってるんだからねー!」
文句を言いながら、私は慌ててシンタさんの後ろ姿を追いかけた。